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    雑記ブログ

    Category: ●"JI-CHAN"<R15>

    【"JI-CHAN"】 第1話 じーちゃんの旅立ちの話

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     あまりにも祖父が大声で泣き続けるので、そばにいた湧井唯生也(ワクイ・ユキヤ/15歳/高1)はテレビの音量を上げた。 ドラマのセリフがまるで聞こえない。リビングのテレビで録画予約なんてするんじゃなかった。仕方なく一時停止して振り返る。もう夜の9時だ。夕方5時に晩飯食う老人は寝てていい時間だぞ。「じーちゃんさー」 ローテーブルに突っ伏して泣き止まない祖父の、がくがくと震える背中を見て溜息をついた。「今日...

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    【"JI-CHAN"】 第2話 仲良し兄弟、一緒に通学

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     湧井唯生也の祖父、湧井唯心(ワクイ・イシン/89歳/無職)が消え、翌日家族は捜索願を出した。 痴呆症の老人の失踪? のような展開で、みなが近所を探し回っている。もちろん、唯生也は昨夜起こった出来事など誰にも言えない。やましいことはしていないのに、なんとなく疑いの目で見られそうな気がしたのだ。 それに言ったところで、もし自分がこの目で見た事が夢でなければ、見つけるすべなどない。 だってじーちゃんはきっ...

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    【"JI-CHAN"】 第3話 このキモチ、わかってほしいの

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     学校に着いた湧井唯生也は、校門の前で立ち止まった。 数人の体のデカイ男たちが正門を塞ぐように並んでいた。「イシンさん、おはよございます!」 まるで応援団のように背を正して、湧井唯心を見ている。 どういうことだ。こいつらは既にじーちゃんを知っているのか? 高校生の唯心は、今朝、どこからともなくウジムシのように湧いて出てきたばかりだっていうのに。 唯心はにっこりと笑って、唯生也を放置したまま門を通っ...

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    【"JI-CHAN"】 第4話 ボーイズラブなんざありえねえ

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     唯生也の体は天頼の重みのせいで、ピクリとも動かない。両手は押さえつけられ、足をバタバタしたところで何の抵抗にもならない。 重い、肺が圧迫されて死ぬ。こんな殺され方、いやだあ! 柔らかな唯生也の唇に味を占めたのか、天頼のキスはどんどん深く濃厚になってゆく。 唯生也は泣きそうになった。さっきのハサミの痛さよりも、ヒゲが擦れるほうがずっと痛い。男くさい臭いが鼻をつく。気持ち悪い。 ふと天頼がキスをやめ...

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    【"JI-CHAN"】 第5話 嫉妬なんてのは心が通じ合ってからにしろ

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     無理な姿勢が続いて体中が痛い。ある部分は感覚が無くて、内容物を垂れ流ししそうで怖かった。もう締まっているのか開いているのかすら指を当ててみなければわからない。 もとはといえば、全部じーちゃんのせいだ。 足元のおぼつかない唯生也は、自分の教室へと戻りながら溜息をついた。ギュッと自分の肩に乗せられた太い腕が気になる。支えられているのか、逃げないように捕まえられているのか、それとも抱かれているのか。 ...

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    【"JI-CHAN"】 第6話 血のつながりなんざ、この際関係ねえ

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     隆洲小夜は不審そうな顔で、2人の男子の顔を見比べている。 そりゃそうだ。呼び出されたのは唯生也だけなのに、その隣にしっかりと唯心が立っているからだ。 唯生也がまだ何も言わないうちに、唯心が威圧的な口調で言った。「サヨ、どうしたんだ。顔が少しばかり似てるからって、相手を間違えるな」 唯生也はなるほど、明治維新の男は女性に対してこういう態度なんだな、と感心していた。ちなみに明治維新は全く関係ないのだ...

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    【"JI-CHAN"】 第7話 あえて何も言わなくとも、通じ合う

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     赤く腫れた左の頬を抑え、唯生也はベッドに寝そべっていた。 祖父はいったい、いつまでオレの世界でのさばってるつもりだろう。周囲の人間の記憶や認識を書き換えてまで、この世界に居続ける理由はなんだ。 多分、ヤツが執着しているのは、ばーちゃんだ。 湧井小夜、旧姓、隆洲小夜。 あの子、純情っぽい見かけでありながら、最初っから入口は『ヨッ、待ってました!』って感じだったなー。そりゃ、最終的に8人産むことにな...

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    【"JI-CHAN"】 第8話(最終話) 唯生也、愛を知る

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     唯生也は、じっと小夜を見て言った。「ちゃんと言わなくてごめん。小夜のことすげー好きなヤツがいて、オレ、そいつと小夜のこと応援したいって思ってるんだ」 小夜は呆然とした顔で、唯生也を見つめた。「お兄さん?」「うん、あの人、……言葉にできないほど落ち込んで、傷ついてる。でもオレのこと一発殴っただけで、言葉では何も責めたりしないんだ。強がることもしない。ただ、ずっと苦しみながら小夜のこと、想い続けてる」...

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