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    雑記ブログ

    Archive: 2016年10月

    過剰サービス

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     31, 2016

    「先週さ、高岡さんが湯沢さんの自宅へ行ったそうだよ」「本当ですか」 タレント事務所に所属している高岡は、そんな同僚の囁き声に悩まされていた。「高岡くん、ちょっと来てくれるかな」 ついに高岡は、部長に別室に呼び出された。「困るんだよ、許可無く勝手に行動されちゃ。ほかのタレントに迷惑がかかる」「申し訳ありません」 高岡が謝っても、部長は苦い顔をしている。「……で、湯沢さんはどんな反応だったんだ」「はい。...

    10月30日のヒーローインタビュー

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     30, 2016

     僕は真中満弦(まなかみつる)、みんな僕を真中クンと呼ぶ。 僕のクラス1年1組は、普通科でも本当に普通な生徒が集められている。でも別棟のA組は学園に寄付金を多く納めているお金持ちクラス。 何もかも特別扱いのA組は、床は豪華な絨毯で、掃除は専門の業者が行う。昼食も弁当ではなく、レストランからシェフが来て特別コースを提供する。ほかにもまだまだ特別な部分があって、一つ一つ挙げていったらきりがない。 そん...

    タイムリミット

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     29, 2016

    「大きなつづらと、小さなつづら、どちらにしますか?」 すずめのお宿を去る時に、私が舌をちょん切ったすずめが言う。 旦那は小さいつづらを持って帰って来て、とんでもないお宝を手に入れた。だから私は、絶対大きなつづらを持って帰ってやる、そう思ってここに来た。 でも、どうだろう。 このすずめは、私が舌を切るというむごいことをしたのに、平然とした顔で私をもてなした。何を考えているか、大体想像がつく。 きっと...

    10月28日のヒーローインタビュー

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     28, 2016

     僕は真中満弦(まなかみつる)、みんな僕を真中クンと呼ぶ。 僕のクラスには、学園一怖いと評判の女子がいる。名前は中畑清良(なかはたせいら)。まだ入学して間もないのに、学園で彼女のことを知らない人はいない。可愛いとはちょっと違う、何か重い雰囲気の女子だ。 清良さんは、いつも僕を睨みつけている。彼女と僕は教室の端と端に座っているのに、教室にいる間中ずっと怖い顔を僕に向けている。僕は彼女に何か酷い事をし...

    養老の滝

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     27, 2016

    「養老の滝って、この道で合ってるんだよね?」 美奈子が言うので、僕は頷いた。「そりゃそうだよ、こんなに屋台が出てるんだから、もう迷うことは無いよ」 僕たちが歩く道の脇には露店が並んで続いている。間違いない。『養老の滝まんじゅう』や『養老の滝せんべい』、『養老の滝ストラップ』や……とにかく、養老の滝グッズが並んでいる。「そうだよね。楽しみだなー。私水筒7つも持ってきちゃったよ。種類あるんだよね?」「う...

    10月26日のヒーローインタビュー

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     26, 2016

     僕は真中満弦(まなかみつる)、みんな僕を真中クンと呼ぶ。 子どもの頃から僕は、由乃ちゃん以外の人に嫌われたことが無い。僕の存在がみんなの心をふわっと軽くさせるらしく、癒し系だね、とよく言われる。 今日もS組のサッカー部員、辻くんが、昼休み僕の所にやってきた。「あ、いたいた真中クン。会いたかったんだ」「どうしたの?」「うん、昨日部活で先輩に嫌味言われてヘコんでたんだよ。真中クンの顔見るとホッとする...

    おじいさん曰く『去年のものはもう、ぼろぼろだからね……』

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     25, 2016

    「一郎兄さん、困ったね」 七郎が声を掛けても一郎は黙っている。「二郎兄さん、困ったね」 七郎が声を掛けても、二郎は黙っている。「三郎兄さん、困ったね」 七郎が声を掛けても、三郎は黙っている。 四朗も五郎も六郎も、皆黙っている。七郎は困りはて、頭の上に積もる雪を払いのけながらため息をついた。「多分、期待してるんだと思うんだよね。それに、きっと今年も、どうしようもない状態で困ってるんだよ」 七郎が呟く...

    10月24日のヒーローインタビュー

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     24, 2016

     僕は真中満弦(まなかみつる)、みんな僕を真中クンと呼ぶ。 僕は普通科なので、1年1組に在籍しているけれど、甲子園を目指す野球部はB組で、栗山くんもそのクラスにいた。 ちなみにそのB組には、中等部からずっとエースで四番だったという、緒方くんもいる。今や補欠らしい。 野球が大好きな彼から、野球を取り上げてしまう栗山くんのことを、きっと酷いやつだと思っているに違いない。「おい、真中」 僕をそう呼び捨て...