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    雑記ブログ

    【怖い夢】



     これはいわゆる、夢オチというやつです。


     僕の名前は大杉健太だ。
     こんな平凡な名前だが、実は、とんでもない天才なのだ。
     日本で一番と言われる某国立大学も、あら、いつから誰でも入れるようになったんだろう、と思うくらい幼稚な問題が並んでいた。
    「大杉くんっていうより出木杉くんだな」
     もう、そんなつまらないことを教授に言わせてしまうほど、罪なヤツなのだ。
     IQで言うと、250くらいあるとか、ないとか。ギネスブック並みなのだ。まさか、そんな低俗なものに名前を載せる気はないけれど。
     ここまで知能指数が高いと、脳の使用率も高いのだと推測する。
     勉強だけでなく、身体能力も高い。反射神経はいいのだから、体を鍛えさえすればオリンピックで金メダルは間違いなしだ。
     脳には解明できていない部分が多いが、きっと僕が全て解明するだろう。時間の問題だ。
     企業の研究チームで引っ張りだこ。月に1億2億など当たり前。運転手付きの高級車を乗り回す。たとえイケメンじゃなくても、女なんてより取り見取り。
     研究の傍ら、遊びまくる。美人さんにいろんな事をしてもらえる喜び。
     でも、残念ながら、僕は人間じゃないのだ。
     宇宙の平和を守るためにやって来たスーパーマンだ。なーんて、人に言うと真に受けるヤツもいるから面白い。


     ただ、僕はあまりに天才過ぎて、ある国家的謀略に巻き込まれてしまった。
     やってもいない殺人犯に仕立て上げられてしまった。


     それは思い出しても恐ろしい情景だった。

     僕は誰かに強い力で背中から口を塞がれ、意識を失った。
     こんな原始的なやり方で捕まえられてしまうなんて、恥ずかしすぎる。この最高の脳でも背後の気配に気付かなかったとは。最高の女とアレコレやっている最中というのは、残念ながら脳も集中してしまう瞬間がある。それは致し方ない。アノ瞬間だけは、頭も真っ白だ。男なのだから。
     まさかとは思うが、ハニートラップ?
     それにしても、入口で待たせていた僕のボディガードは何をしていたんだ。

     そんなことを一瞬で考えたが、すぐに意識は消えた。
     目覚めると、僕の部屋にいた。
     厳重なセキュリティで僕以外の人間は誰も入ることができないはずなのに、一体誰がここに僕を連れて来たんだろう。僕は痛む頭を抱えるように立ちあがった。
     寝室のドアが開いていたので、おかしいなと思い近づいた。
     するとそこには、さっきまで僕のお相手をしてくれていた女が、寝そべっていた。
     血まみれで。

     うわあっ。死体だああ。
     ヤバい、逃げなくては!
     僕はとにかくすぐに家から逃げた。
     もう、どこをどう逃げたのかわからない。後ろからはよく分からない黒ずくめの拳銃を持った男たちが僕を追いかけ続ける。
     でも、オリンピック並みの身体能力は、こういう時に役に立つ。筋力が追い付いていないので、体がバラバラになりそうなくらい辛いが、あっという間にビルを越え、月に届くくらいのジャンプ力。
     フッと笑って、下で悔しがって僕を目で追うしかない男たちを見下ろす。

     しかし、そんな僕でも、軍隊蟻かと思うほどの数の人間に囲まれては、逃げ場所が無くなった。仮想空間に住んでいるわけではないので、囲まれた相手の拳銃の弾を避けることはできない。
     身をひるがえして避けたのだが、腹に数発受けてしまい、その場で蹲る。
     僕は高いビルの上で大量の血を流し、フラついていた。周囲のビルというビルににスナイパーがいるのが分かる。
     誰か助けてくれ!!
     死にたくない!
     あれは僕が殺したんじゃない!!!



     気が付くと、僕はベッドの上にいた。
     夢か……。また、あの怖い夢を見た。もう、何度目だろう。
     僕が目覚めると、優しい兄が食事を運んで来てくれるところだった。
    「いつもごめんね、ありがとう」
    「いや、なに。具合が悪いんだから、しょうがない。早く病気を治せよ」
     そうだった。
     僕は遺伝子の病気で治る見込みがないと言われている難病が発病してしまった。ここは病院の中。自宅のベッドとは違って、硬くて冷たい。あの夢に出てくる僕は、あんなに元気なのにな……。
     兄は、部屋にいる医師と話をしていた。
    「まだ、望みはありますよね?」
    「努力はしますが……。まだ治療法も確立していない病気なので……」
    「とにかく、絶対に助けてやってください」
     兄は医師に深々と頭を下げていた。


    「いいか、絶対病気なんかに負けるなよ?」
     兄が優しい口調で僕に話しかけた。
    「ありがとう」
    「おまえが死んでしまったらみんな悲しむ。頑張って元気になろう」
    「うん。でも、覚悟はできてるから……」
     兄はため息をつきながら言った。
    「そんなこと言うなよ、がんばれ、弱気になるな!先生がぜったいに助けてくれるから!」
    「助かるかな……?」
    「オレがどんなことしても絶対助けてみせる! 病気なんかで死ぬな!!」
    「兄さん……」
     僕の兄は照れくさそうに笑う。
    「兄さんなんて呼ぶなよ、3041号」
    「ごめん、看守さん……」
    「遺族の方はおまえが元気になって死刑執行されるのをずっと待ってるんだ。簡単に死なすわけにはいかないんだよ」
    「でも、冤罪なんだけど……」
    「もう、殺したとか殺してないとか、関係ないんだよ」

    「そうだったね。僕、あの怖い夢のような1年前の自分には戻りたくないよ……。病気に侵される前に、僕の脳、ちゃんと役立ててね」








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    2016/08/23 (Tue) 17:21 | EDIT | REPLY |  

    TAKU  

    8/23の鍵コメ様へ

    コメントありがとうございます!

    なんかちょっと卑怯な感じで、申し訳ないです……(;・∀・)
    長ーい苦闘の【Noise or Melody】が終わって、フラストレーション溜まっちゃって、ついやってしまいました……。
    こういうの今まで書いたことないんですが(多分)、そんな風に感じて頂けたなら、嬉しいです。
    やっぱり、短編って難しいですね……。

    2016/08/23 (Tue) 19:58 | EDIT | REPLY |  

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